今後の動きに注視していく必要があるが、幸いなことに、昨年の参議院議員選挙では、政権側が過半数を切り、私どもと支持・友好関係にある自由民主党が第一党になり、ねじれ国会になっていることから、修正することなく「人権侵害救済法案」が国会へ提出された場合には、将来に禍根を残さないように、自由民主党と連携しながら修正を求めていく。 また、障がい者の人権確立については、国連が平成18年12月に「障がい者権利条約」を採択し、日本も平成19年9月に署名を行っているが、条件整備を整備し、一日も早く批准できるよう、政府は昨年1月に「障がい者制度改革推進会議」を発足させ、6月に提言を受け「障がい者基本法」の改正案を策定していることから、実情に合った改正案になるよう政府に働き掛けていくとともに、その成立に協力していく。 「障がい者基本計画」が平成15年度から平成24年度までの10年間定められており、昨年度から平成24年度までの後期として「新たな重点施策実施5か年計画」が実施され、政府は毎年この計画の進捗状況を報告しているが、平成16年6月の「障がい者基本法」の改正により、「障がい者基本計画」の策定は努力義務であった都道府県は義務化に、市町村も平成19年4月からは義務化になり、ほとんどの自治体で基本計画が策定されたが、その計画を推進する部局を横断する推進体制の設置については、平成22年3月末で都道府県70.2%、指定都市で55.6%、市町村では28.3%、になっている。推進体制が整備されなければ計画倒れになることが予想されることから、推進体制の整備と計画の実施を都道府県と市町村に求めていき、共生社会を目指す。 なお、「障がい者の雇用の促進等に関する法律」の平成20年12月の改正で、障がい者雇用納付金制度の適応対象が、これまでの常用雇用労働者301名以上から、平成22年7月1日からは201名以上に、平成27年4月1日からは101名以上になることから、障がい者の雇用促進を企業に要請していく。 一方、女性の人権については、平成13年10月から施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV法)によって、平成14年4月からは「配偶者暴力相談支援センター」が各都道府県に設置され、業務を開始しており、平成19年7月の改正により、市町村にも配偶者暴力相談支援センターの設置が努力義務となったが、ほとんどの市町村は設置していないことから、その設置を市町村に求めていく。(平成22年4月1日現在、全国188施設で、市町村が設置する施設は20施設) なお、この支援センターへの相談件数は年々増加しており、平成21年度は72,792件で、警察が対応したものでも28,158件になっている。 また、これまで身体に対する暴力を受けたものに限り、保護命令を申し立てることができたのに対して、平成20年1月からは生命・身体に対する脅迫を受けた者についても、身体に対する暴力によりその生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合には、保護命令を発することができることとなったほか、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため、接近禁止命令の発令されている間について、被害者の親族等への接近禁止命令も発することとされ、さらに、被害者への面会の要求や無言・夜間の電話等を禁止する電話等禁止命令も新設されたことで、平成21年では3,100件の申し立てがされ、2,411件について保護命令が発令された。 今後もDV被害者の増加が予想されるが、緊急な避難場所としてのシェルター(一時避難所)が不足しているので早急に設置するよう市町村に求めていく。