各年度運動方針
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 平成29年度 運動方針


昨年の運動方針に明記した、広範な人権問題を包含する「人権擁護法案」は現況では困難であると判断し、未だに完全解決に至っていない同和問題を解決するために、「人権擁護法案」の関連法として、当面は同和問題に特化した個別法の成立を求めて行く。としたことに、全力を傾注した結果、新たな救済制度は採り入れられなく不十分ではあるが「部落差別の解消の推進に関する法律」(以後「部落差別解消法」と略す)が成立した。
同和問題は解決の過程にあるものの、同和問題を解決するための人権教育・啓発について、この間、同和問題に関する内容の質・量において後退している感が拭えないが、この「部落差別解消法」の成立で、後退傾向に歯止めがかかると思われる。



一方、懸念されることとして、この「部落差別解消法」には何が部落差別に該当するのかの定義がないことで、一部の団体が部落差別かなと疑義を抱くような事象を主観で「部落差別」だと押し付ける可能性を残していることと、部落差別の実態に係る調査に関しては、昭和44年(1969年)7月に「同和対策特別措置法」が制定され、その後、「同和対策特別措置法」は3年間の延長を経て、昭和57年には「地域改善対策特別措置法」、昭和62年には「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に名称を変え、延べ5回の延長で33年間続けられ、平成14年3月に法が失効してから法的には同和地区や同和関係者は存在しないことになっている。
法的に存在しないものを調査するには、再度、地区指定及び関係者(平成5年の全国実態調査で混住率は41.4%で関係者は少数になっている)の選別が必要になり、現在、平穏に暮らしている地域に混乱と分断を持ち込むことになる。私どもが求めている実態の調査は、地方公共団体が把握している部落差別の件数とその内容を国としてまとめることであり、対象地域や関係者を固定化させるような調査ではないことを明確にしたい。
なお、法務省の「人権侵犯処理規定」に基づく人権侵犯事件の平成28年の同和問題の新規受理件数は78件で過去最低を記録している中、一部の市町村において条例化の動きがあるが、条例化については上記事項から極めて慎重でなくてはならず、策定する場合には議会だけの議論ではなく、広く住民を交えた審議会や協議会を設置し、検討するとともに、検討結果を市町村が発行する広報紙を活用し広く住民に告知し、パブリックコメントの手続きを経るなど、住民の共感と理解を得るものとする。
この間、「障害者差別解消法」、「障害者虐待防止法」「児童虐待防止法」「高齢者虐待防止法」「いじめ防止法」「男女共同参画基本法」「ヘイトスピーチ解消法」等々の個別法が制定されているが、被害者の救済措置が十分ではないことから、「人権擁護法案」を合意形成ができる内容に見直し、成立を求め続ける。
「障害者差別解消法」は平成25年6月に制定され、同法第6条に規定する「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」が平成27年の2月に策定公表され、各省庁においても「国等職員対応要領」と「事業者のための対応指針」が作成された後、平成28年4月から施行されたが、今後はこれらに基づく各省庁の各種施策の実施状況を注視していく。
地方公共団体についても、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の策定と実施を求めるとともに、「職員対応要領」の策定を求めている。大半の地方公共団体は策定済みだが、一部の市町村に遅れがあることから策定を急がせていく。
また、障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止及び解決を図ることと、差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うために「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を求めているが、都道府県・指定都市は大半が設置済みだが市区町村は大幅に遅れていることから、この「協議会」が早期に設置されるよう市区町村に求めていく。
障がい者の雇用については、平成25年4月から法定雇用率が引き上げられたことで、平成28年(6月1日現在)の雇用数や雇用率も過去最高を更新で、民間企業では47万4,374人の対前年4.7%(21,240.5人)の増になっており、法定雇用率の達成企業の割合は、48.8%で対前年比1.6ポイント上昇しているが、未だに過半数にも達していないことから企業に雇用の促進を強力に求めていく。
また、厚生労働省は「障害者の雇用の促進に関する法律」を平成25年6月に改正し、この改正に基づき、「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」と「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」を平成27年3月に策定している。
この指針も平成28年4月から施行されており、この指針では、募集採用時や採用後での差別禁止や合理的配慮を定めているので、この指針が守られているかの点検も併せて行っていく。
なお、現在は精神障がい者の雇用は義務化されていないが、精神障害者健康福祉手帳保持者は雇用率に算定できることになっているが、平成30年4月からは義務化されるので、更なる法定雇用率の引き上げが予想される。
ノーマライゼーション(共生社会)の観点からのインクルーシブ教育(特定の個人・集団を排除せず学習活動への参加を平等に保障する)システムの推進として、都道府県が特別支援教育専門家等(早期支援コーディネーターは74人、合理的配慮協力員は47人、外部専門家として、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が348人、看護師は1,200人)の配置及び連携協議会及び研修による特別支援教育の体制を整備する場合に要する経費の一部を補助する事業が平成28年度から実施され、今年度29年度の新規事業として、就労支援コーディネーター(74人)、発達障害支援アドバイザー(74人)、また、特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制整備(30地域)、特別支援教育の視点を踏まえた学校経営構築研究開発事業(27箇所等)も設けられ、「障害者差別解消法」の施行を踏まえ、特別支援教育の充実に向けた予算は増額しているが、インクルーシブ教育システム推進事業は減額されていることから、予算の拡充を文部科学省に求めていく。
虐待については、「障害者虐待防止法」では虐待行為者の範囲を、養護者と障がい者福祉施設の従事者及び障がい者を雇用する事業主としており、特別支援校や特別支援学級で体罰が表面化している中、虐待の温床になっている病院や学校を加えるよう政府に働きかけるとともに、都道府県では「障害者権利擁護センター」を、市町村では「障害者虐待防止センター」の設置が定められているので、都道府県と市町村に通報状況や対応上の問題などを確認する活動を行う。
児童の虐待については、平成12年5月に成立した「児童虐待の防止等に関する法律」や「児童福祉法」の度重なる改正から、虐待の定義や通報義務の拡大、警察に対する援
助要請、出頭要求の制度化、裁判所の許可を得ての立入調査と臨検・捜索、立入の拒否での罰金の引き上げ、地方公共団体での要保護児童対策知的協議会の設置等、児童相談所や福祉事務所の権限を強化してきているが、本年の4月からは裁判所の許可を得る立ち入り調査や臨検・捜索が迅速・的確な対応ができるよう要件が簡素化されるので、児童相談所や福祉事務所及び警察と連携を取り悲惨な事故をなくしていく。
なお、昨年1年間に警察から児童相談所に虐待を受けた疑いがあるとして通告された18歳未満の子供は5万4,227人になっている。
学校での「いじめ」については、平成25年6月に「いじめ防止対策推進法」が制定され、いじめの定義の拡大や明確化されてきたが、未だに「いじめ」による悲惨な自殺が続いていることから、「いじめの防止等のための基本的な方針」を改訂するとともに、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が策定された。
基本方針の改定では、発達障害を含む障害のある児童生徒、性同一性障害や性的指向・性自認(LGBT)に係る児童生徒、東日本大震災により被災した児童生徒等については特に配慮が必要と明記され、インターネット上のいじめが重大な人権侵害に当たり、被害者等に深刻な傷を与えかねない行為であることを理解させる取り組みを行うことも明記された。
また、いじめの解消は、被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)が止んでいる状態が3か月以上継続しているとした。
新たに策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、「基本方針」(平成25年10月)、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」(平成26年7月)、「不
登校重大事態に係る調査の指針」(平成28年3月)が策定された後も、学校の設置者又は学校において、いじめの重大事態が発生しているにもかかわらず、「法」、「基本方針」及び「調査の指針」に基づく対応を行わないなどの不適切な対応があり、児童生徒に深刻な被害を与えたり、保護者等に対して大きな不信を与えたりした事案が発生していることを踏まえ、「ガイドライン」を策定したとしているので、今後はいじめによる悲惨な出来事が起こらないように、各学校に設置されている「いじめの防止等の対策のための組織」の点検と、スクールカウンセラーの平成31年度までの目標の全公立小中学校(27,500校、平成29年度までは26,000校)への設置及びスクールソーシャルワーカーの平成31年度までの目標のすべての中学校区(約1万人、平成29年度までは5,047人)への設置を早期に達成するために、予算の更なる拡充とともに、コミュニティ・スクールの拡大を文部科学省に求めていく。
また、いじめ防止のため道徳が重視され、道徳が正式な教科になり、小学校は平成30年4月から、中学校は平成31年4月から全面実施になることから、差別を「しない、させない、見逃さない」ことは最高の道徳だと思われるので、道徳も最大限に活用するよう求めていく。
性同一性障害や性的指向・性自認(LGBT)に係る児童生徒については、既に、平成27年4月に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」として、学校における支援の実例を上げたものをまとめているが、現場の教職員からより指導し易いものをとの要望を受け、平成28年4月に教員向けとして「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」をまとめ、各学校に配布されているので、その実施状況や問題点等を確認する。
一方、女性の人権については、平成13年10月から施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV法)によって、平成14年4月からは「配偶者暴力相談支援センター」が各都道府県に設置され、業務を開始しており、平成19年7月の改正により、市町村にも配偶者暴力相談支援センターの設置が努力義務となったが、ほとんどの市町村は設置していないことから、その設置を市町村に求めていく。(平成28年3月現在、全国262施設で、その内市町村が設置する施設は89施設、なお、この支援センターへの相談件数は年々増加しており、平成27年度は11万1,630件と2年続けて10万件の大台を突破し、平成28年に警察が対応したものでも6万9,908件で、検挙件数は8,387件になっており、いずれも法施行後最多となっている。
また、これまで身体に対する暴力を受けたものに限り、保護命令を申し立てることができたのに対して、平成20年1月からは生命・身体に対する脅迫を受けた者についても、身体に対する暴力によりその生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合には、保護命令を発することができることとなったほか、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため、接近禁止命令の発令されている間について、被害者の親族等への接近禁止命令も発することとされ、さらに、被害者への面会の要求や無言・夜間の電話等を禁止する電話等禁止命令も新設されたことで、平成28年では2,143件について保護命令が発令された。
よって、少しでも危害を受ける可能性がある場合は、積極的に保護命令を活用して被害を防いでいく。
なお、「ストーカー規制法」による認知件数も平成28年では22,737件で、2,605件が検挙されている。
この「ストーカー規制法」は平成25年6月に改正され、電子メールを対象に加えることや禁止命令等を出すことができる公安委員会の処置が拡大され、国及び地方公共団体は民間の自主的な組織活動の支援のための体制整備に努めることも明記されたが、相談窓口すら設置していない市町村が多数存在することから、その体制整備を都道府県・市区町村に求めていく。
今後もDVやストーカー被害者の増加が予想されるが、緊急な避難場所としてのシェルター(一時避難所)が不足しているので早急に設置するよう市町村に求めていく。
平成27年の8月に成立し、平成28年4月に施行された「女性活躍推進法」は、女性の地位の向上のため従業員301名以上の企業、国や自治体に女性管理職の割合や採用比率などを数値目標にすることなど、取り組む内容を平成28年の4月1日までに、行動計画を策定して公表することを義務付けるものであるが、従業員300名以下の中小企業は努力義務になっているので、実効性があるものにするために、義務付ける企業の従業員数を下げるよう、厚生労働省に要請していく。





住環境整備については、近隣地域との差異がないかを点検しつつも、高齢者・障がい者・妊娠している女性・子どもなど、ハンディキャップがある人たちが自由に社会に参加できる活力ある地域にするため、バリアフリーは当然のこととして、ユニバーサルデザインの用具をも活用する「人権のまちづくり」を視野に入れた取り組みを展開し、ノーマライゼーションを達成する。
バリアフリーの基準としては、介助がない車イスでどこへでも自由に、安心・安全・快適に移動できるものとする。
バリアフリーについては、「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の促進に関する法律」(通称、ハートビル法)と「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(通称、交通バリアフリー法)を統合した新法「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(通称、バリアフリー新法)が、施行されているので、この「バリアフリー新法」と平成28年の4月から施行される「障害者差別解消法」を積極的に活用してバリアフリーの建築物を増やしていく。
老朽化した改良住宅・公営住宅の建替えを行う際については、空き家の集約化を図り、集約化で空いた土地を民間に払い下げるなど、空き地の有効活用で混住化を促進する。
また、定期借地権などを活用して持ち家化を考慮しつつも、払い下げを積極的に求めて、これを機会に「人権のまちづくり」を具現化する総合計画の策定を市町村に求めていく。
改良住宅・公営住宅の空き家がある場合には、混住化を促進するためにも、一般公募制度を活用し、また、若年層の流入を促すために、就学前の子どもを持つ世帯とか新婚家庭や妊婦については優先入居や割引の導入などの工夫を凝らして空き家をなくしていくとともに、高齢者の孤立死を防止する手立てを講じるよう、市町村に要求していく。
なお、公営・改良住宅の入居者の選定や管理を、未だに地区の自治会や同和運動団体の役員に任せていることは、不正行為や混住化を妨げる温床になることから、公営・改良住宅の管理・運営を市町村が行うよう、市町村に強く要請していく。
批判の対象になっている改良住宅・公営住宅の家賃については、応能応益制度を取り入れ、暫時、見直しを進めていくことになっているが、応能応益制度を取り入れていない市町村には、早急に制度を取り入れ、家賃の見直しをするよう要求していくとともに、家賃の滞納を市町村と協議しながら早急に改善していく。
地域の拠点である隣保館については、「部落差別解消法」が成立したことで運営費の削減や廃止は当分の間回避できるものと思われるが、これを機会にあらゆる差別や虐待などの人権侵害や生活困窮者等が相談でき、また、広く市民も利用できる公的施設にすることで交流が生まれ、また、同和対策で住環境が改善された同和地区を眼にすることで、同和地区の心象を変えていくことにもなるので、障がいのある人もない人も利用し易い施設にするために、厚労省の改修費補助を積極的に活用してバリアフリー化をも進めていく。
また、指定管理者制度を活用して活性化を図ることも考慮する。






同和関係事業者は零細で、かつ、建築・土木関係業者が極めて多いという特定の業種に偏った特有性をもっているので、公共事業が年々減少していくような状況で基盤を確立することは非常に困難ではあるが、合理化や近代化を促進するとともに、生き残りのため共同化や協業化を進めていく。
業種転換する場合には、政府が中小・零細業者向けセーフティーネットとして実施している各種融資制度の有効活用や各省庁のホームページで最新の情報等を有効利用するとともに、都府県や市町村と協議しながら、きめ細かな指導をしていく。
未就労者に関しては、ハローワークを最大限活用するとともに、規制の緩和により都道府県も就労の斡旋ができるようになったことと、現在、様々な雇用対策が実施されているので都道府県と連携を図り、未就労をなくしていく。
平成27年4月から「生活困窮者自立支援制度が始まっているので、この制度を積極的に活用していく。
また、専門性を取得するために職業訓練や研修・講座などを有効活用し、就労を確保していく。特に、世界でも類のない高齢化社会に進んでいることで、介護福祉士やホームヘルパーが不足しているため、求人の需要が非常に高くなっていることから資格の取得を奨励していく。
農林漁業者については、TTP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加すれば、安い農産品が輸入されることになるので、付加価値の高いものに移行するとともに、ブランド化を目指し、インターネットを活用して消費者との直販や販売店との直取引など販路の拡大を図っていく。このことは、畜産、園芸でも同様であり、漁業については、養殖なども検討していく。
なお、本格的に導入された「指定管理者制度」では、すべての公共施設を指定管理者に管理をさせることになっているので、隣保館なども対象になることから、各都府県本部で設置しているNPO法人の実情に合った公共施設の指定管理者になり、雇用の促進ができるよう、都道府県・市町村と協議していく。
いずれにしても、最新の情報を得るため中央本部は各省庁と、都府県本部は都府県と緊密な連携を図り、会員に最新の情報の伝達や相談を行うため、都府県本部内に相談業務を確立していく。
また、就職差別をなくし、安定した雇用を確保するため、厚生労働省が100名以上の従業者を有する企業に設置を求めている「公正採用選考人権啓発推進員」との連携を深めていくと同時に、障がい者の雇用をも促進するため、法定雇用率(常用労働者が50人以上の民間企業は2.0%)を下回る企業については、特に積極的に雇用するよう求めていくが、抜本的に就職差別をなくすため、ILO第111号条約の「雇用及び職業における差別に関する条約」を批准し、国内法を整備するよう厚生労働省に求めていく。






教育・啓発については、既に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定されており、国においては基本計画も策定実施されているが、「部落差別解消法」の成立から、この2つの法律を有効活用し、すべての都道府県、すべての市町村に、この基本計画の策定と実施を強く求めていくと同時に、現状に即した内容になっていない場合には見直しを強く求めていく。
また、基本計画には企業の役割も明記されていることから、厚生労働省が100名以上の従業員を有する企業に設置を求めている「公正採用選考人権啓発推進員」との連携を深め、企業内の人権研修の充実に努めていくとともに、未設置の企業には、推進員の設置を求めていく。
高等学校の授業料の無償化は、平成26年度からは所得制限が取り入れられ、国公私立を問わず、高校等の授業料の支援として、月額9,900円を支給限度額として就学支援金が支給される制度に変更され、私立高校の場合には、世帯の年収350〜590万未満は基本額の1.5倍(全日制の場合14,850/月)、250〜350万円未満は基本額の2倍(全日制の場合19,800円/月)、250万円未満は基本額の2.5倍(全日制の場合24,750円/月)が支払われ、更に、生活保護世帯や非課税世帯に関しては高校生等奨学給付金制度も設けられているが、高額な入学金が必要な学校も存在することから、都道府県が実施する高等学校等奨学資金制度の一層の拡充を求めていく。
大学・短期大学の奨学金は、独立行政法人日本学生支援機構や都道府県などでも貸出を行っており、現在では5割を超える学生が利用しているといわれている(日本学生支援機構だけでも4割を超えている)。
日本学生支援機構の奨学金は、これまでは学力要件があったが、今年度からは学力要件が撤廃された第1種(無利息)と、第2種(利息付)とがあり、第2種の場合は毎月貸与する金額が、3万円・5万円・8万円・10万円・12万円と選択できるようになっているが、平成29年度予算要求では、有利子81万5千人(2万9千人減)、無利子51万9千人(4万4千人増)となり有利子から無利子への流れが加速している。
平成30年度からは返済不要の給付型奨学資金制度が始まるが、今年度は来年度からの本格的実施に先立ち、約2,800人に実施されることになっている。
現在、自由民主党においては、この給付型奨学資金を拡充するために、教育債の発行などで対応することを検討している。
また、入学時特別増額貸与奨学金も、10万円・20万円・30万円・40万円・50万円と、入学の時に必要な資金も借りることができる。
国の教育ローン(日本政策金融公庫)は、利息は高いが350万円まで借りることができる。
これら奨学資金制度を活用し、大学・短期大学の進学率の向上を図っていくと同時に、所得の格差で教育の格差が生じないよう、大阪市が実施している塾代補助である「教育バウチャー制度」を文部科学省に求めていく。
なお、低所得で奨学金の返済ができず滞納者が増加していることから、「所得連動返還型制度」や「返還免除規定」の導入を求めていたが、平成24年度からは「所得連動型返還型無利子奨学資金制度」(第1種)が導入されている。
今年度からは「新たな所得連動型無利子奨学資金制度」が導入されるが、これは第1種(無利子)の奨学資金が対象で第2種(有利子)の奨学資金は対象外なので、第2種(有利子)の奨学資金も導入するよう要請していく。
また、「障がい者基本法」が改正され、インクルーシブ教育が明記され、また、平成28年4月から「障害者差別解消法」が施行されたことで、すべての学校でバリアフリー化が進み、車イスでも通学できるようになると思われるが、文部科学省により一層の促進を求めていくと同時に、児童・生徒の人権を侵害する教師の体罰や差別言動が少なからず発生していることから、教職員に対する人権研修の徹底をも求めていく。
平成20年3月に「人権教育の指導方法の在り方について」(第3次とりまとめ)が、平成21年10月には「人権教育の推進に関する取組状況の調査結果について」が文部科学省でまとめられ、各学校に配布されていることから、その実施を求めていくが、その際には、カリキュラムには最大限の関心を持ち、人権教育が計画的に実施されるよう働きかける。
また、導入することに賛否が分かれている学校選択制度については、同和関係者が多数在籍する学校を敬遠するなど、解決しつつある同和問題を逆行させる可能性と、これまでの学校と地域の一体性が瓦解し、児童生徒が減少する地域は崩壊する可能性もあることから、導入には断固として反対していく。
なお、近年各地で始められた小・中一貫教育については、「学校教育法」が改正され平成28年4月から施行された。その学校の名称は「義務教育学校」になることから、同和関係者が多数在籍する学校を、「義務教育学校」にし、交流を深めて同和問題の解決に繋げていく。






国家行政組織法の第3条委員会としての「人権委員会」が創設されるまでは、平成15年の3月に20年ぶりに改正された「人権侵犯事件調査処理規程」での対応になるが、差別での泣き寝入りは絶対にさせないとの強い気持ちで、「人権侵犯事件調査処理規程」を有効に活用して救済を図っていく。
多発する学校でのいじめ問題を始めとする様々な人権問題に対処するため、平成25年度からは全国の法務局に、企画担当委員として人権擁護委員が常勤する人権擁護体制の強化が図られているので、積極的に人権救済を行っていく。
また、「人権擁護法案」と「人権委員会設置法案」のいずれもが、言論や表現の自由を規制するものだとの批判が巻き起こり、結果的に成立に漕ぎ着けないでいるので、国民の支持が得られるようにするため、人権侵害の定義を誰もが分かり易いものに見直す作業を開始する。
ヘイトスピーチ対策については、当初、自民党は既存の法律で対処するとしていたが、他の法律との関係で国会対策として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」を議員立法としてまとめ、昨年の第190回国会において成立した。
明らかなヘイトスピーチについては毅然として取り締まることは必要だが、ヘイトスピーチを拡大解釈しての過度な取り締まりは言論・表現の自由を委縮させることになるので慎重な対応を法務省に要請する。
法務省は、ヘイトスピーチに関しては、ポスターの作成や新聞広告など各種媒体を活用して啓発に重点を置いた取組を始めている。
一方、同和問題に関しても「部落差別解消法」が成立したことで、成立したことを周知を図る目的で啓発を始めているが、一層の取り組みを要請していく。





LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)については、メディアが取り上げることで社会の中に浸透しつつあり、野党は「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等推進に関する法律案」を国会に提出しているが、審議は進んでいない。

自由民主党も「性的指向・性自認に関する特命委員会」を設置し、この特命委員会のアドバイザーとしてBASEKOBE代表の繁内幸治さんを任命して、平成28年2月23日に初会議を開催し、LGBTの方々がどのような困難に直面しているのかを把握するための学習会を何度も重ねた上で、社会の理解を促し、差別をなくし、不自由さを克服するために「LGBT理解増進法案」を取りまとめたが、総務会で時期尚早として暗礁に乗
り上げている。
一方、厚生労働省は、この特命委員会がまとめた「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すための政府への要望」を受け、「男女雇用機会均等法」の規定に基づき策定されている「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(セクハラ指針)が昨年改正され、職場におけるセクシャルハラスメントの内容に、「被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシャルハラスメントも、本指針の対象となるものである」と明記され、平成29年1月1日から施行されている。
また、公務員についても人事院は、国家公務員法に基づく「人事院規則10-10セクシャル・ハラスメントの防止等」を改正し、第2条の定義の「性的言動」に「性的指向若しくは性自認に関する偏見」を加え、更に、第7条の「研修等」に「研修等の内容には、性的指向及び性自認に関するものを含めるものとする」ことも明記され、これも平成29年1月1日から施行されている。
このように法の成立がなくても進んでいるものもあるが、「法」が成立すれば一層の推進が図られることから、私どもは自由民主党の友好団体であることを生かして、自由民主党の国会議員に成立を強く働きかけるとともに、結成以来の私どもの悲願である簡易・迅速・柔軟に人権侵害の被害者を救済できる国家行政組織法の第3条委員会としての「人権委員会」の設置を中心にする「人権擁護法案」の自由民主党内での議論の再開も併せて要請していく。

 
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