また、最近、一部運動団体が部落地名総鑑を発見したと騒いでいるが、高度に発展しているインターネット社会と、同和対策事業で対象地域が以前の面影を残さないほど環境整備が図られた地域、まして混住化が進んだ地域の現状を勘案すれば、部落地名総鑑の持つ意味が以前ほど重大ではなく、当然、取扱についても違いが出てくると思われる。 同和対策事業が実施される前の劣悪な環境では、対象地域を知れば差別の助長に繋がったが、現在の対象地域を見ても差別心は芽生えないであろう。なおかつ、同和問題を少し勉強すれば対象地域には隣保館や改良住宅が建設されていることが分かり、インターネットで県や市町村のホームページで隣保館や改良住宅を検索すれば、対象地域の所在はすぐに判明するし、航空写真や衛星写真で対象地域全体を観ることもできる。 対象地域に入れば、同和問題を解決するための看板やポスターが目に付くし、人権週間になれば隣保館などに垂れ幕や横断幕などが掲げられ、対象地域であることを知らせている。また、隣保館が行っている交流事業に参加する人達もすべて知ることになる。したがって、対象地域の所在をあえて公開する必要はないが、部落地名総鑑を発見しても、差別の助長になると大騒ぎするのではなく、淡々と処理すればいいことで、未だに差別があることの根拠にすることは差別の現状を見誤る危険な所業といわざるを得ない。 対象地域に住む人達を差別しようとする悪意を持った確信犯的な人は絶対になくならない。そのようなレイシストが部落地名総鑑を作成してインターネットに流すなど悪用した場合には、毅然として対処することは当然であるが、今や混住化が進み半数以上は関係者以外の人達であることを広報することのほうが部落地名総鑑を無意味にする近道ではないだろうか。