老朽化した改良住宅・公営住宅の建替えを行う際については、定期借地権などを考慮しつつも、払い下げを積極的に求めて、これを機会に「人権のまちづくり」を具現化する総合計画の策定を市町村に求めていく。 改良住宅・公営住宅の空き家がある場合には、混住化を促進するためにも、一般公募制度を活用し、また、若年層の流入を促すために、就学前の子どもを持つ世帯とか妊婦については優先入居や割引の導入などの工夫を凝らして空き家をなくしていくとともに、高齢者の孤立死を防止する手立てを講じるよう、市町村に要求していく。なお、公営・改良住宅の入居者の選定や管理を、未だに地区の自治会や同和運動団体の役員に任せていることは、不正行為や混住化を妨げる温床になることから、公営・改良住宅の管理・運営を市町村が行うよう、市町村に強く要請していく。 批判の対称になっている改良住宅・公営住宅の家賃については、応能応益制度を取り入れ、暫時、見直しを進めていくことになっているが、応能応益制度を取り入れていない市町村には、早急に制度を取り入れ、家賃の見直しをするよう要求していくとともに、家賃の滞納を市町村と協議しながら早急に改善していく。 地域の拠点である隣保館については、運営費の削減や廃止をしたいとの声が聞かれるようになってきた。 これは、隣保館が部落解放同盟の事務所に使われ、公の施設になっておらず、稼働率が低いことにも起因する。周辺地域との交流事業を活発に行っている館や広く市民が利用している館などにはそのような声は聞こえてこない。 同和地区住民だけの館とか、同和運動団体が勝ち取った施設という考えは、同和地区を特化するだけで、差別の固定化に繋がり、部落解放同盟に甘えを許すだけで、市民の理解を得ることは困難であろう。 公の施設であれば広く市民が利用できる施設にすることは当然であり、広く市民が利用することで交流が生れ、また、同和対策で住環境が改善された同和地区を眼にすることで、古い同和地区のイメージを払拭させ、差別観を変えることにもなるので、広く市民が利用できるよう、厚労省の改修費補助を積極的に活用してバリアフリー化をもすすめていく。 なお、隣保館が廃止される場合には、指定管理者制度や民間委託などを活用できないかを検討しつつも、廃止された場合には支部の役員が同和地区と行政とのパイプ役を担う、地区の世話役を積極的に務めることにする。